市民主役の挑戦 ― 赤磐市「モモロックフェス」と地方創生

市民主役のイベント「第1回モモロックフェス」が、3月1日、赤磐市のドイツの森で開催されました。

公式チラシと、私がAIで試作したPRショート動画もアップしております。

このフェスは赤磐市からのご依頼により、私も基本コンセプトづくりのお手伝いをさせていただいた企画です。

10代、20代の若者からファミリー層までをメインターゲットに、踊りと地域の魅力を融合させた、躍動感あふれるイベントとなりました。入場無料ということもあり、多くの来場者で賑わい、主催に関わった者の一人として安堵したところです。

会場では、市の特産品である雄町米の新酒と苺、そして福島県浪江町の名物「なみえ極太焼きそば」など、地域と地域を結ぶ食を存分に楽しみ土産といたしました。実行委員の若いお二人に伺うと、次回は桃を主役に、7月18日(土)に開催予定とのこと。地域の特色を活かした取り組みが、これからさらに広がっていくことを期待しています。

もっとも、今回のイベントは「良かったね」「楽しかったね」で終わるものではありません。しっかりと結果検証を行い、地域主役の実践型地方創生のシナリオへとつなげていくことが重要です。

そして、この若い力による地方創生の挑戦を振り返りますと、今回の取り組みの出発点は4年前に遡ります。当時の赤磐市長から、創生総合戦略の実践展開についてお手伝いしてほしいとのご依頼をいただき、岡山大学の立場から人財育成講座の企画と実施をお手伝いさせていただきました。

その現場責任者が、当時副市長であった前田正之氏(現在の市長)でした。

人財育成講座の後、「若い力で、市民が主役のワクワクする催事を実施したい」という相談を受けました。それまでの「市主催型イベント」から、「地域主役の実行委員会方式」へ転換したいという構想です。

そこで2024年9月、赤磐市ドイツの森で第1回企画会議を開催しました。

その後、大学生、市役所や商工会の若手職員、地域おこし協力隊経験者、さらには岡山シーガルズの若手スタッフなどが、仕事を終えた夕方から手弁当で集まり、幾度もワークショップと企画会議を重ねてきました。

およそ一年半。若い力の挑戦が、ついに今回のフェスとして結実したのです。

ときあたかも、地方創生には厳しい現実が自治体を襲い、現在、日本の地方自治体は大きな課題に直面しています。

東京一極集中と人口減少は依然として続き、地方創生政策の成功事例は決して多いとは言えません。さらに平成の大合併に伴う特例措置も終わり、多くの自治体では財政の将来が懸念されています。

老朽化する社会インフラとして、施設、道路、橋梁、上下水道の更新。

さらには公共交通の維持。

こうした課題の中で、全国の首長の皆さんは日々難しい舵取りを迫られています。

そのような状況にあって、今回のモモロックフェスは、産・官・学・民の若者が協働して企画に挑戦し、実際のイベントとして成功させたという点で、非常に意義深い取り組みであったと感じています。

そして、首長の覚悟とリーダーシップについて申し上げますと、このプロジェクトの背後には、前田正之市長の強い覚悟とリーダーシップがありました。

若い世代に任せるという決断。

行政主導ではなく、市民主体の実行委員会方式へ転換するという判断。

それは決して簡単なことではありません。

しかし、地方創生の本質は、行政の事業としての「イベント」ではなく、市民自身が主体となって地域の未来を創ることにあるのだと思います。

当日、広大なドイツの森の駐車場は満車となり、一時渋滞が起きるほどの賑わいとなりました。その光景を見たとき、思わず目頭が熱くなりました。一年半のあいだ、若い人たちが夕方から集まり、何度も議論を重ねながら形にしてきた努力が、確かな姿となって現れた瞬間だったからです。

地方創生は決して一朝一夕に成し遂げられるものではありません。

しかし、地域の未来を自分たちの手でつくろうとする若い世代の情熱こそが、その原動力になるのだと思います。

この実行委員会がプラットホームとなり、赤磐市において、市民が主役となるまちづくりの輪がさらに広がっていくことを心から願っています。

そしてジイジもまた、若い人たちの背中をそっと押す役割として、これからもベテランの味を少しばかり活かしながら、地域のお役に立てればと思うのであります。

夕暮れのドイツの森に残る賑わいの余韻のなかで、ふと感じました。

地方創生とは、大きな政策の言葉ではなく、こうした一つひとつの小さな挑戦の積み重ねの先に、静かに芽吹いていくもだと確信しています。

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