夏休みの終わり、瀬戸内市の「裳掛夏祭り」へ出かけました。
会場は裳掛小学校の校舎とコミュニティハウスです。8月29日、今年は岡山大学まちづくり研究会の学生たちに卒業生も加わり、総勢45人が集まりました。二泊三日で準備に取り組み、地域の皆様と力を合わせて祭りを支えます。その頼もしい姿に、こちらまで元気をもらいました。
大仕事の一つが、400人分のカレーライスづくりです。写真の大鍋からも、その規模を感じていただけると思います。学生と地域の皆様が一緒につくる、心のこもった「お・も・て・な・し」。たくさんの人に美味しく食べてもらおうという気持ちが、大鍋いっぱいに詰まっているようでした。
子どもたちのお楽しみも盛りだくさんです。学生手づくりのお化け屋敷に、射的、ボウリング、金魚すくい。いつもの学校が、この日はわくわくする祭りの会場になりました。大学生のお兄さん、お姉さんと遊んだ時間は、ちびっこたちにとって、夏休みを締めくくる思い出になったことでしょう。
この祭りを支える岡山大学まちづくり研究会、通称「まちけん」は、学生が地域に入り、まちづくりを考え、実践する団体として2013年に立ち上がりました。裳掛地区を主な活動の場に、代々の学生が地域の皆様との関係を育んできました。
その歩みは、夏祭りだけではありません。放課後の学習支援「もかけてらこや」では、小学生の勉強を手伝いながら交流を重ねてきました。地域の子どもたちにとって、大学生は先生や保護者とはまた違う、少し年上の身近な存在です。一緒に考えたり、話したりする時間そのものに、大切な意味があるように思います。
耕作放棄地の活用を考える取り組みでは、地域の方々に教わりながら、サツマイモの植え付けから収穫、その後の活用までを経験してきました。収穫には子どもたちも招き、採れたイモを一緒に味わったり、加工して祭りで販売したりしています。土に触れ、作物を育て、食べるところまで関わることで、地域の暮らしや農業への理解も深まります。
さらに、運動会やどんど祭りなどの地域行事への参加、活動を伝える「まちけん通信」の発行にも取り組んできました。学生の得意分野を生かした企画と、日頃の地道な交流。その両方を大切にしてきたところに、まちけんらしさがあります。
学生は数年で卒業します。それでも、先輩から後輩へ経験や思いが引き継がれ、地域との関わりが続いていく。今回、卒業生も含めて45人が集まったことは、その積み重ねを感じさせてくれました。学生時代に通った地域が、卒業後も会いたい人のいる場所になっているのでしょう。
私は、こうしたつながりこそ、地方創生を支える大切な力だと思っています。地域の皆様が育ててきた祭りに学生が加わることで、準備や運営を分かち合い、新しい遊びや工夫を持ち寄ることができます。一方、学生は地域の方から段取りや知恵を教わり、世代の異なる人と一つのことを成し遂げる経験を得ます。大学の教室だけでは得がたい学びです。
そして、卒業しても折に触れて訪ねてくる人が増えていく。そうした継続的な関わりは、「関係人口」という言葉にも通じます。裳掛で過ごした時間が、若者たちの心にもう一つのふるさとを育てているのかもしれません。
祭りの締めくくりは、花火大会でした。
花火を支える協賛企業の一覧は、書道部にも所属する学生が手書きで仕上げ、会場に掲示してくれました。自分の得意なことで祭りに力を添え、地域を支える方々への感謝を形にする。こうした心配りにも、うれしくなりました。
夜空に開く花火を、子どもたちも、学生も、地域の皆様も一緒に見上げます。準備に取り組んだ二泊三日も、大鍋のカレーも、子どもたちの楽しそうな姿も、そのひとときにつながっているように感じられました。
花火が消えた後には、夏の終わりの少し名残惜しい気持ちが残ります。それでも、またこの場所で皆さんと会えると思うと、心は温かです。久しぶりに学生や地域の皆様と過ごす夏休みの最後は、私にとっても、うれしい時間となりました。
翌日は、その余韻を食卓へ。
瀬戸内市で仕入れた牛窓特産のマッシュルームを主役に、キャベツとナスを加えて、野菜がごろごろ入ったタイ風レッドカレーをつくりました。地元のイチジクとブドウも添えると、夏から秋へ移る季節を楽しむ食卓になりました。
自分でつくったカレーも、なかなか美味しくできたつもりです。とはいえ、前日に学生と裳掛の皆様がつくってくださった、あの大鍋のカレーにはかないません。
あちらには、瀬戸内の香りに加えて、みんなで汗を流した時間と、祭りの楽しさが溶け込んでいたのでしょう。
花火の余韻を思い出しながら、もうひと口。裳掛の皆様、学生と卒業生の皆さん、今年も素敵な夏の思い出をありがとうございました。
瀬戸内市で仕入れた牛窓特産マッシュルームを軸にキャベツと茄子でゴロゴロ野菜のタイ風レッドカレーを作りました。いまが旬の地元イチジクとブドウも添えて頂きました。とは言え、昨日の学生と地元裳掛の皆さんが作った瀬戸内の香りのカレーライス(写真:大鍋)の味には及びませんでした。
