二週続けて雨の京都となりました。
7月から京都大学経営管理大学院で客員教授として勤務することとなり、その準備のため、週に一度京都へ通う生活が始まっています。
朝の通勤時間帯の市バスは、国内外から訪れる観光客で満員です。京都駅では乗り切れない方が次のバスを待つ光景も珍しくなく、世界的な観光都市・京都ならではの活気を感じる一方で、日常生活への影響も大きく、オーバーツーリズムという課題を改めて実感しました。
梅雨空も重なり、少しばかり憂鬱な気持ちになる「ジイジ」であります。
そんな中、自然と足が向いたのは京都大学のすぐ東、吉田山の麓に鎮座する吉田神社でした。
♪ 紅もゆる 丘の花
早緑匂ふ 岸の色
都の花に 嘯けば
月こそかかれ 吉田山
京都大学の学生であれば誰もが親しむ寮歌「紅萌ゆ」の一節です。
吉田山は、京都大学の精神的な原風景ともいえる場所であり、その山裾に鎮座する吉田神社は、大学の歴史とも深いご縁を持っています。
吉田神社は、平安時代の859年、藤原山蔭によって創建された古社で、京都でも有数の歴史を誇ります。全国の神々を祀る「大元宮」を擁する神社としても知られ、古くから厄除け・開運・学業成就の神として多くの人々の信仰を集めてきました。
京都大学吉田キャンパスは、この吉田神社の社地や周辺を含む吉田山の一帯に広がっています。大学創設以来、多くの学生や教職員が節目節目に参拝し、受験や卒業、研究の成就を祈願してきました。2月の節分祭には、京都大学の学生をはじめ、多くの参拝者で境内が埋め尽くされることでも有名です。
私も今回、京都大学で新たなご縁をいただいたことへの感謝を伝えるため、吉田神社へ御礼参りをさせていただきました。
6月30日は、一年の前半の穢れを祓い、残る半年の無病息災を祈る「夏越の大祓(なごしのおおはらえ)」の日です。
境内には大きな茅の輪が設けられ、多くの参拝者が「水無月の夏越の祓する人は 千歳の命 延ぶというなり」と唱えながら輪をくぐっていました。
私もその輪をゆっくりと三度くぐりながら、心静かに手を合わせました。
年齢を重ねるにつれて、身体のあちらこちらに衰えを感じるようになりました。
「もう少しだけ元気に動ける時間をいただけますように。」
そんな率直な願いを神様に申し上げました。
午後には、岡山大学財務課長、そして学務部長として大変お世話になった荒木さんを訪ねました。
現在は京都大学学務部長としてご活躍されており、久しぶりの再会となりました。
大学運営という仕事は、教育・研究を支える「縁の下の力持ち」です。学生や教職員が安心して学び、研究できる環境を整えるためには、多くの職員の努力があります。
岡山大学時代をともに歩んだ仲間が、今も京都大学という日本を代表する学府で活躍されている姿を拝見し、大変うれしく思いました。
京都大学には「自由の学風」という言葉があります。
しかし、その自由は決して放任ではなく、長い歴史と伝統、人への信頼の上に築かれた自由です。
その象徴ともいえる吉田山と吉田神社は、今日も静かに学生や研究者を見守り続けています。
京都大学経営管理大学院で客員教授として始まる新しい仕事に向けて、私も初心を忘れることなく、一歩一歩歩んでまいりたいと思います。
人は歴史を学び、歴史は人を育てる。
吉田神社の静かな杜で、そのことを改めて感じた一日となりました。
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