公共施設を考える 地域の未来を考える

備前市で三回にわたり開催した「これからの公共施設のあり方を話し合うタウンミーティング」が一区切りを迎えました。ご参加いただいた市民の皆さまに、心より感謝申し上げます。

今回のタウンミーティングは、単に公共施設の建替えや統廃合を議論する場ではありませんでした。人口減少や少子高齢化が進む中で、私たちはどのような地域を次の世代へ引き継ぐのか。その未来を市民、行政、議会が共に考える「第0回」の対話として開催したものです。

備前市では、今後40年間で公共施設などの更新に約2,150億円が必要になると試算されています。一方で人口は減少し、高齢化はさらに進みます。これまでと同じように、すべての施設を維持し続けることは現実的ではありません。だからこそ、「施設をどう残すか」という発想から、「地域をどう残すか」という発想への転換が求められています。

三つの会場では、それぞれ地域らしい意見が数多く寄せられました。

備前地区では、市全体を見据えた施設配置や財政運営について多くの議論が交わされました。日生地区では、港町として受け継がれてきた文化や人と人とのつながりを守りたいという思いが強く語られました。吉永地区では、地域コミュニティや交通手段、地域間の公平性など、日々の暮らしに直結する課題が数多く提起されました。

地域によって課題は異なります。しかし、どの会場にも共通していたのは、「建物を守りたい」のではなく、「地域の暮らしや文化、人と人とのつながりを守りたい」という市民の皆さんの願いでした。

私は、この三回の対話を通じて、改めて「公共施設は目的ではなく、地域経営を支える手段である」と強く感じました。

学校には子どもたちの学びがあります。公民館には地域活動があります。ホールには文化があります。そこには、高齢者の生きがいがあり、子育て世代の交流があり、災害時には地域を支える拠点としての役割もあります。公共施設の価値は、利用率や床面積だけでは測ることはできません。そこに集う人々の活動こそが、地域の財産なのです。

だからこそ、これからの公共施設マネジメントは、「建物を管理すること」ではなく、「人を大切にする地域経営」でなければなりません。人的資本や地域の信頼関係、すなわち社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)を育てる視点が、これまで以上に重要になると考えています。

今回のタウンミーティングでは、「数字だけで判断しないでほしい」という声も数多く聞かれました。その思いはもっともです。一方で、人口減少や財政制約という現実から目を背けることもできません。

だからこそ必要なのは、「森を見て木を見る」という視点です。

市全体の財政や人口構造という「森」を見つめながら、それぞれの地域で育まれてきた歴史や文化、人々の暮らしという「木」を丁寧に見つめる。その両方を大切にしてこそ、本当の地域経営が実現します。

公共施設マネジメントに唯一の正解はありません。しかし、決して変わらないものがあります。

それは、「人を大切にする」という価値観です。

公共施設を守ることが目的ではありません。人を育み、人を支え、地域を未来へつないでいくことこそが、本来の目的です。

三回のタウンミーティングは、その第一歩となりました。これからも、市民、行政、議会が知恵を出し合い、「公共施設から地域経営へ」という新しい挑戦を進めていきたいと思います。

将来世代へ誇れる備前市を引き継ぐために、その歩みを、これからも皆さんとともに、覚悟を持って、市民の皆さんとの対話を続けて参ります。

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