京都にて研究計画の打ち合わせ

6月1日から、京都大学経営管理大学院の客員教授として採用頂き、一旦、卒業した研究と教育の場を、再び与えて頂く栄誉に浴しました。

これまで岡山大学で取り組んできた地域金融や公共政策、地方創生の研究をさらに発展させ、地域経済の活性化や地方創生に役立つファイナンスの新たな活用について研究を深めてまいります。そして、その学びや研究成果を地元・岡山のまちづくりや自治体政策へ実践的に還元していきたいと考えています。

6月18日は、その研究計画の具体的な方向性について、恩師であり、日本を代表するファイナンス研究者である京都大学名誉教授・川北英隆先生と打ち合わせを行うため京都を訪れました。

実はこの6月18日は、京都大学の創立記念日でもあります。

京都大学は1897年(明治30年)、東京帝国大学に続く日本で二番目の帝国大学として創設されました。自由な学風を重んじ、「自由の学風」の精神は今日まで受け継がれています。これまでに数多くのノーベル賞受賞者や世界的研究者を輩出し、日本を代表する研究大学として世界的にも高い評価を受けています。

今年で創立129周年を迎え、2027年には節目となる130周年を迎えます。125周年では「京大力、新輝点」というスローガンが掲げられました。「輝点」には、新たな出発点、未来への起点、そして機転や転機という意味が込められているそうです。

岡山大学も150年近い歴史を誇る素晴らしい大学ですが、このような伝統ある京都大学でも研究・教育に携わる機会をいただけたことを大変光栄に感じています。

「みかえり阿弥陀」で知られる永観堂

打ち合わせまで少し時間がありましたので、京都駅から市バスに乗り、まずは「永観堂(禅林寺)」を訪れました。正式名称は禅林寺です。平安時代初期の853年に創建された浄土宗西山禅林寺派の総本山です。永観堂といえば、何と言っても「みかえり阿弥陀」で知られています。横を向いた仏様の像を拝見したのは生まれて初めてです。解説によれば、「第七世住職・永観律師が念仏行道をしていた際、阿弥陀如来が歩み出され、「永観、遅し」と振り返られたという逸話から生まれた全国でも珍しい阿弥陀像」であると伝えられ、「慈悲深く振り返るお姿は、人を待ち、人を導く仏様の優しさを象徴」しています。

また、永観堂は「もみじの永観堂」と呼ばれる京都屈指の紅葉の名所です。初夏の青もみじも美しく、境内全体が静かな緑に包まれ、心が穏やかになるひとときでした。

禅の精神が息づく南禅寺

永観堂から歩いて向かったのが「南禅寺」です。

南禅寺は1291年、亀山法皇が離宮を禅寺に改めて創建した臨済宗南禅寺派の大本山で、日本の禅宗寺院の中でも最高位に位置付けられる格式ある寺院です。久しぶりに訪れた巨大な三門は、歌舞伎『楼門五三桐』で石川五右衛門が「絶景かな、絶景かな」と語る舞台としても知られています。

広い境内には国宝の方丈や枯山水庭園があり、禅文化の奥深さを感じることができます。

特に印象的なのは、よくテレビのサスペンスや刑事ドラマでロケに使われる、境内を横切るレンガ造りの水路閣です。近代土木遺産と歴史ある禅寺が美しく調和し、京都ならではの景観を生み出しています。

明治日本を支えた琵琶湖疏水

続いて訪れたのが「琵琶湖疏水記念館」です。

琵琶湖疏水は明治時代、衰退しつつあった京都を再び活気ある都市へ再生するために建設された、日本を代表する近代土木事業です。

1885年に着工し、1890年に完成。総延長約20キロメートルに及ぶ大事業でした。

設計・建設を指揮したのは当時わずか21歳の工学者田邉朔郎であると知り驚きです。当時としては世界最先端の技術を導入し、日本初の事業用水力発電所を建設したことで、京都は日本初の路面電車や近代産業の発展を支える都市へと生まれ変わり、現在も京都市民の生活用水や観光船、水辺空間として大切に活用されており、「地域を支える社会インフラ」の重要性を改めて実感しました。

公共施設やインフラマネジメントを研究する私にとっても、大変学ぶところの多い施設でした。

京都の中心「へそ」と六角堂

その後、四条烏丸へ向かう途中、生け花の聖地「六角堂(頂法寺)」へ参拝しました。

六角堂は聖徳太子の創建と伝えられ、京都市街地のほぼ中央に位置することから「京都のへそ」とも呼ばれています。境内には「へそ石」があり、平安京造営の際の中心を示したとも伝えられています。

また、六角堂は日本の伝統文化である華道・池坊発祥の地としても知られています。室町時代、この寺に仕えた僧侶たちが花を立てる技法を磨き、それが今日の華道へと発展しました。日本文化を代表する「いけばな」の源流が、この静かな境内にあることに改めて感銘を受けました。

勤務開始の記念として絵馬を奉納し、池坊御用達として知られる京阿月の銘菓「へそ石餅」を家族へのお土産に買い求めました。

梅雨の時期でしたが雨には降られず、その代わり湿度は高く、歩くだけで汗がにじむ一日でした。市バスは外国からの観光客の皆さんで満員。先日、倉敷市への宿泊税の導入に向けた検討と答申作りをお手伝いしました。その導入検討に際しては、先行している京都市の宿泊税について研究を重ねましたが、京都が世界を代表する国際観光都市であることを改めて実感しました。

こうして午後は四条烏丸の前田珈琲本店で川北先生と充実した研究打ち合わせを行い、これから進める研究の方向性について貴重なご助言をいただくことができました。

夕方には岡山へ戻りましたが、歴史と文化、そして学問の都・京都で過ごした一日は、私自身にとって新たな研究生活のスタートを強く意識する大切な節目となりました。

京都で得た知見を、これからも地域金融、公共政策、地方創生、そして岡山のまちづくりへとつなげ、一つひとつ形にしていきたいと思います。

 


■関連リンク

京都大学 創立125周年記念事業特設サイト

永観堂(Eikando,Kyoto)

臨済宗大本山 南禅寺 公式サイト :: 南禅寺

琵琶湖疏水記念館

『六角堂』 紫雲山 頂法寺|聖徳太子創建、いけばな発祥の地

「へそ石餅」 https://e-kyoto.jp/rokkaku-do-hesoishimochi.html

前田珈琲(マエダコーヒー) -京都人に愛され半世紀 「京都老舗喫茶」-

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