倉敷の未来を育てる宿泊税

倉敷市宿泊税検討委員会の第5回委員会が、6月4日、倉敷市で開催されました。

振り返れば、この間、委員の皆さまと共に、宿泊税という新しい制度の導入について、様々な角度から議論を重ねて参りました。そして今回、その成果を答申として取りまとめ、古谷雅彦会長から伊東香織市長へ、直接、手渡しで提出いたしました。

当日は伊東市長も冒頭から陪席され、委員会の議論を見守られました。委員全員が、それぞれの立場や経験を持ち寄りながら、「倉敷にとって本当に必要な制度とは何か」を真剣に考え続けてきました。

宿泊税というと、「新たな負担」という側面が先に語られがちです。しかし、私たちが議論してきたのは税そのものではありません。

その先にある、倉敷の未来です。

私は委員会の副会長として、今年2月に委員の皆さまと金沢市を視察いたしました。金沢市は全国に先駆けて宿泊税を導入した都市の一つです。

現地では制度の運営状況や活用事例について詳しく学ばせていただきましたが、印象に残ったのは、「税を集めること」が目的ではなく、「地域の魅力を磨き続けること」が目的になっていることでした。

歴史的な街並みを守ること。

観光案内を充実させること。

歩いて楽しいまちをつくること。

来訪者が安心して滞在できる環境を整えること。

その積み重ねが、結果として市民の暮らしの質を高め、さらに多くの人を呼び込む好循環を生み出していました。

倉敷もまた、美観地区をはじめとする全国有数の観光資源を有しています。

白壁の町並み。

大原美術館。

児島の繊維産業。

水島の産業遺産。

瀬戸内の豊かな自然。

これらは先人たちが大切に守り育ててきた地域の宝です。

しかし、宝は持っているだけでは輝き続けることはできません。

これらのかけがえのない宝を磨き続ける努力が必要です。

景観保全、交通環境の改善、多言語対応、防災対策、デジタル化、文化資源の活用など、観光都市としての魅力を維持するためには継続的な投資が欠かせません。

そのための新たな財源として宿泊税を位置付けるべきだと確信しています。

これが委員会の基本的な考え方です。

そして議論の中で私自身が強く感じたのは、「人を大切にする観光」の重要性でした。

観光は観光客のためだけにあるものではありません。

迎える市民が誇りを持てること。

地域で働く人たちが笑顔になれること。

子どもたちが将来も住み続けたいと思えること。

そうした地域づくりの延長線上に観光があるべきだと思います。

観光客が増えても、市民が疲弊してしまえば本末転倒です。

反対に、市民が住みやすいまちは、訪れる人にとっても魅力的なまちになります。

今回の答申では、宿泊税の使途についても議論を重ねました。

その結果、「観光客のためだけの施策」ではなく、「訪れる人も、市民も恩恵を受ける施策」に活用すべきであるとの考え方を整理いたしました。

例えば、公共交通の利便性向上や案内表示の充実、防災機能の強化、まちなかの環境整備などは、市民にも来訪者にも役立つ投資です。

観光振興と市民生活の向上は、本来対立するものではなく、両立できるものだと考えています。

答申提出を終えた今、ようやく一つの節目を迎えました。

しかし、本当の意味でのスタートはこれからです。

市議会での議論、岡山県との協議、総務大臣の同意手続きなど、制度導入までにはまだ多くの段階があります。

だからこそ、市民の皆さまや宿泊事業者の皆さまと対話を重ねながら、倉敷らしい制度へと育てていかなければなりません。

宿泊税は目的ではなく、未来への投資です。

倉敷を訪れる方々が「また来たい」と思い、市民が「このまちに住んでいて良かった」と感じる。

そんな人を大切にする観光都市づくりの一助となることを願いながら、委員会の一員として関わることができたことに感謝しております。

国際観光都市・倉敷の未来が、さらに豊かで持続可能なものになることを祈念しています。

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