浜松で感動のとき

6月になりました。

梅雨入りを待つこの時期に、いきなり台風です。

6月3日に浜松の方々とお会いする予定でしたが、台風6号がちょうど午前9時頃に浜松付近へ最接近するとの予報が出ていました。交通機関が止まるリスクも考え、急遽予定を変更して前日の6月2日から浜松へ向かうことにいたしました。

天気予報を気にしながら慌てて支度を整え、岡山駅新幹線ホームの「ふるいちうどん」へ飛び込みました。ところが券売機のボタンを押し間違えたらしく、車内持ち込み用の容器に入れてくださり、そのまま次に来た「のぞみ」の自由席へ駆け込みました。

結果として人生初の「新幹線うどん」となりました。

車内で蓋を開けると、お醤油の甘くてしょっぱい香りがふわりと立ち上ります。今では車内の半分以上を外国人旅行者が占めていますが、皆さん不思議そうな表情で眺めておられました。

ともあれ、台風の影響が本格化する前に、新幹線を乗り継ぎながら無事浜松へ到着することができました。

せっかくの機会ですので、一番安いお部屋ながら奮発して、駅前のオークラアクトシティ浜松に二泊することにいたしました。

チェックインを済ませ、お昼ご飯は駅前の「うなぎ 徳」さんへ。本場浜名湖の新ブランド「でしこ うなぎ」の鰻重をいただきました。

本場浜松で鰻をいただくのは何年ぶりでしょうか。

かつて勤務していた愛知学泉大学は、遠州のお隣である三河地方にありました。その関係で浜松はもちろん、浜松信用金庫、浜松商工会議所、静岡県労働金庫などとのご縁もあり、東京勤務時代を含めて何度も足を運んだまちです。当時は今ほど高価ではありませんでしたので、出張の楽しみとして鰻重や鰻丼をいただく機会も少なくありませんでした。

岡山へ戻ってからはすっかりご無沙汰でしたが、「でしこ うなぎ」の肉厚でふっくらとした味わいに大満足でした。

 

さて、今回の旅の大きな楽しみの一つが、かつての教え子との再会でした。

長い教員生活の中でも、最も熱心に指導した学生の一人です。成績最優秀者として卒業式では全学卒業生総代を務め、堂々と答辞を述べた姿を今でも鮮明に覚えています。

卒業以来15年ぶりの再会でしたが、台風接近の中にもかかわらず、ご家族そろって会いに来てくれました。

小学6年生と4年生のお子さんにも会うことができました。

堅実で温かな家庭を築いておられる様子に、教師としてこれ以上の喜びはありません。ご家族からあふれる幸せのお裾分けをいただき、私の心も幸せで満たされていきました。

愛知学泉大学には、豊田市を中心に、浜松、磐田、掛川、袋井、牧之原、さらには焼津や静岡方面からも多くの学生が通っていました。スポーツに打ち込む学生も多く、卒業写真に写る左から二人は、東海地区空手道選手権個人戦の優勝者と準優勝者です。

卒業後の仲間たちの近況も聞かせてもらい、懐かしさとともに歳月の重みを感じました。

こうした時間こそ、教員にとっての本当のウェルビーイングなのかもしれません。

 

翌日は静岡文化芸術大学を訪問し、この春に学長兼理事長に就任された佐々木雅幸先生にお目にかかる機会をいただきました。

佐々木先生は、日本における文化政策学・創造都市論の第一人者として知られています。金沢大学や大阪市立大学など多くの大学で、長年研究と教育に携わられ、『創造都市への挑戦』『創造農村』など数々の著作を通じて、文化と地域づくりの関係を理論と実践の両面から切り拓いてこられました。

また、金沢市や京都市をはじめ全国各地のまちづくりに深く関わり、ユネスコ創造都市ネットワークの理念が日本へ広がる過程においても大きな役割を果たされました。さらに文化庁の京都移転についても、長年にわたり文化による地域活性化の重要性を提唱してこられた第一人者のお一人です。

先生が提唱されてきた「創造都市」とは、単に文化施設を整備する都市づくりではありません。文化、芸術、歴史、産業、人材、地域コミュニティなど、その地域が持つ創造力を活かしながら持続可能な発展を目指す都市のあり方です。

人口減少時代を迎えた日本の地方都市においては、経済成長だけではなく、人々が誇りと愛着を持ちながら暮らせる地域をどう育てるかが問われています。地方創生や公共政策に携わってきた私にとっても、佐々木先生のお話は改めて文化の力が地域の未来を支えることだとご教示頂き、改めて目から鱗でありました。

お忙しい中を、夜もご一緒いただき、ご当地名物の浜松餃子を囲みながら語り合う機会に恵まれました。

さらに驚いたのは、お酒に岡山県赤磐市産の雄町米を使った銘柄が用意されていたことです。遠州の地で故郷岡山とのご縁を感じることができ、思わず顔がほころびました。

教え子との再会と尊敬する研究者との対話、そして、人と人とのつながりの温かさを頂く機会を得ることができました。

台風によって始まった浜松への旅でしたが、振り返れば、人生の豊かさとは何かを改めて教えてくれた心に深く刻まれる「感動のとき」となりました。

このような貴重な機会をおつくりくださった伊藤直人大先輩(トヨタ研究所勤務時代の元上司)に、心より感謝申し上げます。

 


■関連リンク

【公式】オークラアクトシティホテル浜松

佐々木雅幸 – Wikipedia

文化庁の機能強化・京都移転 | 文化庁

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