早起きをしました。
5月22日から、八王子ICから中央道を上野原ICまで参り、九十九折りが続く一般道を、一路、多摩川の源流の村、山梨県丹波山村へ向かいました。
丹波山村は、秩父多摩甲斐国立公園の深い山々に抱かれた小さな村であり、島嶼部を除けば、関東地方で最も人口の少ない村として知られています。多摩川の清流は、この村の山あいから静かに始まり、やがて東京都民の暮らしを支える命の水となります。
今回、この丹波山村で開催されたのが、「小さな村g7サミット」です。
北海道・音威子府村、東北・檜枝岐村、関東・丹波山村、関西・北山村、中国・新庄村、四国・大川村、九州・五木村という、各地域で最も人口の少ない村々7つが一堂に会する全国的な交流会です。
私は、中国地方で最も人口の少ない村であり、旭川源流の村として知られる岡山県新庄村から参加いたしました。
会場の村役場に到着すると、そこはウグイスの大合唱でした。都会の騒音とは隔絶された緑豊かな山里に響く清々しい歓迎のこだまに嬉しくなりました。
村のご担当に挨拶をしてから、道の駅へ廻り、朝食は、出来立てのお焼きを2個買い求めました。温かさが伝わる出来立ての味に、山村の暮らしの素朴な豊かさを感じました。あんこと野沢菜の2種ともに、こうした手作りの食には、人の気持ちがこもり伝わってきました。
さて、いよいよサミットの開幕です。
人口だけ見れば「小さな村」です。
しかし、会場に集まった皆さんの志や情熱は、驚くほど大きいものでした。
「人口減少」という言葉だけを聞けば、日本の地方は暗い話題ばかりに見えるかもしれません。しかし、この場に集まった村々には、都市にはない“濃い人間関係”や、“助け合いの文化”、そして“自然と共に生きる知恵”が、今なお色濃く残っています。
数(人口)は少なくても、質(心の密度)は極めて高い、まさに、そのような集まりでした。
この「小さな村g7サミット」は、2016年に丹波山村で第1回が開催され、「小さな村でも志は高く、力を合わせれば大きな可能性を生み出せる」という理念のもとに続いてきた取り組みで、途中、コロナ災禍などがありましたが、7つの村を一巡して、今回、丹波山村に帰ってきました。
基調講演では、日本海側を代表する離島・島根県海士町からのお話がありました。
地域づくりの先進地として全国的にも有名な海士町ですが、その中で飛び出した言葉が実に印象的でした。「AIに飲み会は出来ません(笑)」に会場は大きな笑いと拍手に包まれました。
確かに、AIは便利です。
これから地方行政にも、教育にも、産業にも、ますます導入されていくでしょう。私自身もAIを活用しています。
しかし、人と人が同じ釜の飯を食べ、夜遅くまで語り合い、失敗談に笑い、未来を語る「人間の温度」までは、代替できないと確信します。
シンポジウムのエネルギーを受け継いだ大宴会は、さらに盛り上がりました。こんな宴会は何年振りでしょうか、記憶にないほどです。そして、小さな村の全国集団は、その“人間の温度”の高まりで、村の創生に向けた未来へのパワーを呼び覚ました、そんな凄さを感じたサミットとなりました。
「中締め」が終わりましたが、夜通し会議が続きそうな気配であり、一足先に会場を後にしてバンガローへ戻りました。街灯が無く真っ暗闇に包まれた山里は静かに更けていきました。
さて、帰路は青梅街道を走り、奥多摩湖・小河内ダム周辺を通りました。
東京都民の水がめとして知られるこの地域も、まさに多摩川源流域です。
その途中、あちらこちらで見かけたのが、ツキノワグマ出没注意の看板でした。
最近では、八王子周辺の住宅地近くでも熊の目撃情報があり、人間の生活圏と野生動物の生息域が、少しずつ重なり始めています。岡山市や高松市でもイノシシ出没のニュースが続いていますが、相手が熊となると、私たち素人には容易に対応できません。
山を削り、森を分断し、自然の姿を変えてきたのは人間です。
人は熊に慣れておらず、熊もまた人に慣れていない。
だからこそ、感情論だけではなく、山に暮らしてきた方々の知恵や、専門家による冷静な議論を重ねながら、「共生」の道を探っていく必要があると思います。
緑の森、清流、里山を愛する小市民として、そのことを切に願います。
■関連リンク
山梨:小さな村「g7」丹波山で集い10年…10年ぶり、村同士交流深める :地域ニュース : 読売新聞
マキタスポーツさん「村全体を日本全体を盛り上げたい」 丹波山村で「小さな村g7サミット」始まる 山梨(2026年5月22日掲載)|YBS NEWS NNN
