2023年に放送され、大きな話題となり、2026年から第二部が始まったTBSドラマ『VIVANT』では、堺雅人さん演じる乃木憂助が、商社マンの顔を持ちながら、日本を守る非公認組織「別班」の諜報員として活動します。表の肩書だけでは分からない役割を担うという設定から、ふと昔の職場を思い出したのでした。
金融財政事情研究会では、倉田専務理事から私たち一部の職員が、通称「鵺部隊」と呼ばれていました。もちろん、ドラマのような秘密組織ではありません。出版や調査研究、研修などの仕事を通じて、霞が関と丸の内、そして各地の金融機関を行き来していた私たちへの呼び名です。
ドラマの別班が正体を隠して任務に当たるのに対し、こちらは人に会い、話を聞き、行政と金融実務、研究や教育の間をつなぐ仕事でした。一つの肩書には収まりにくい働き方をしていた頃のことを思うと、「鵺部隊」という呼び名とともに、倉田専務のことが懐かしく思い出されます。
以前のブログにも、当時を「霞が関と丸の内を渡る鵺と呼ばれた時代」と書きました。「都の闇を飛び回った」と言えば、いささか『VIVANT』めいてしまいますが、それは少々大げさな言い回しであります。それでも、その時代に出会った人々や教わったことは、今の私の仕事と学びを支えています。
その鵺に、京都で思いがけず再会しました。下京区の神明神社には、源頼政の鵺退治にまつわる伝承があり、退治に使われた矢の鏃2本が宝物として伝わっています。
かつて「鵺部隊」と呼ばれた私が、鵺退治ゆかりの神社で神妙に手を合わせている。何とも不思議で、少しおかしい巡り合わせです。お参りを済ませると、若い頃の気負いも、古くからの憑き物も、すっかり落ちたような心持ちになりました。
この日は、京都のお万歳料理のお店で、恩師とのご縁に感謝し、岡山の仲間との再会を喜び、倉田専務と昔の仕事を懐かしむ京都の宵を、独り楽しみました。鵺の役目はひとまず終えて、これからはウサギのように、面白い先人を見つけては、もうひと跳ねして参りたいと思います。
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