明徳義塾を訪ねて

岡山シーガルズのお供をして、高知へ遠征してまいりました。

瀬戸内の岡山から四国山地を越えて高知へ入ると、空の広さも、光の強さも、どこか違って感じられます。坂本龍馬を生んだ自由闊達な風土、黒潮に育まれた海の恵み、そして一つの道を粘り強く究める土佐人の気概。高知には、訪れる者を元気にしてくれる、明るさと力強さがあります。

今回訪問させていただいたのは、須崎市浦ノ内の豊かな自然に抱かれた明徳義塾中学・高等学校です。明徳義塾といえば、全国的には高校野球の強豪校として広く知られています。2002年夏の甲子園では全国優勝を果たし、長年にわたって高知県の高校野球を牽引してきました。そして、この夏も高知大会決勝で高知中央高校を3対0で破り、2年ぶり24回目となる夏の甲子園出場を決めました。心よりお祝い申し上げます。そして、明徳義塾の真価は、野球だけにとどまりません。プロゴルファーの松山英樹選手や横峯さくら選手、大相撲の第68代横綱・朝青龍関、元大関・琴奨菊関、サッカー元日本代表の三都主アレサンドロ選手など、実に多彩な分野へ人材を送り出してきました。松山英樹選手が2021年のマスターズ・トーナメントで日本男子初の優勝を成し遂げたことは、学校のみならず日本スポーツ界にとっても歴史的な快挙でした。

私たちが訪問した、7月16日は、ちょうど学園祭の開催日で、校内には生徒たちの明るい声と笑顔があふれていました。私たちもその輪に加えていただき、暑い夏には何よりありがたい、冷たいかき氷をご馳走になりました。この日の学園祭では、なんと教員が模擬店を出展して、生徒たちがお客さんなのです。これには驚きました。秋の学園祭は、その逆で生徒がおもてなしをする側に回るそうです。お忙しいなか、嵜本宏明校長先生自ら、学校の歴史や校風、教育理念、さらにグローバル教育について、丁寧にお話をお聞かせくださいました。嵜本校長先生からは「明徳義塾の建学の精神は、「徳・体・知」の三位一体による真の人間教育です。一般には「知・徳・体」と表現されることが多いなかで、明徳義塾は、あえて「徳」を最初に掲げています。どれほど優れた知識や技術、強い体力を身につけても、それを正しく生かす人間性がなければ、社会から信頼される人物にはなれないという考え方です。「徳育の上に立った体育であり、知育であれ」という言葉には、勝利や成績だけを目的とせず、挨拶や礼儀、感謝、協力、責任感を備えた人間を育てようとする、揺るぎない教育姿勢が表れています。その理念を実践する柱が、学校教育、クラブ活動、寮生活です。全生徒がスポーツまたは文化活動に参加する「全員クラブ制度」を採用し、目標に向かって仲間と努力すること、勝敗や成功だけでなく、失敗や挫折から立ち上がることを学びます。また、多くの生徒が寮で生活し、教職員と生徒が同じ生活空間で向き合う「師弟同行」の教育を実践しています。こうした人材像を象徴しているのが、校章にも用いられているタンポポです。「踏まれても 咲くタンポポの 笑顔かな」踏まれても再び花を咲かせ、種となれば風に乗って遠くへ飛び、新しい土地に根を張るタンポポ。そのたくましい生命力と適応力は、厳しい環境にも負けず、世界のどこでも自分らしく力を発揮できる人材を育てたいという願いを表しています。」とご説明を頂きました。

この精神には、黒潮の荒波に向き合いながら生きてきた土佐の人々の姿が重なります。困難にひるまず、進むと決めた道を貫く気骨。それでいて、訪れた者を笑顔で迎え、かき氷を振る舞ってくれる温かさ。剛毅さと人懐こさが同居するところに、実に高知らしい教育の姿を感じました。今回、実際に学園祭を訪ね、生徒の皆さんの挨拶や表情、先生方との距離の近さ、整えられた教育環境に接し、想像をはるかに超える実践力に感服いたしました。全国に名を知られるスポーツ強豪校であると同時に、人間性、自立心、国際性を育む「人づくりの学園」であることを、肌で感じる訪問となりました。

岡山シーガルズもまた、バレーボールを通じた人づくりと、地域に支えられ、地域とともに歩むチームづくりを大切にしています。競技力だけでなく、人間としての成長を重視する点において、明徳義塾の「徳・体・知」の教育とは、深く通じ合うものがあるように思います。

学園祭のにぎわい、冷たいかき氷、生徒の皆さんの爽やかな挨拶、そして嵜本校長先生からうかがった熱のこもったお話。短い訪問ではありましたが、高知の海と山に抱かれた学園から、大きな元気と学びをいただきました。

 


■関連リンク

明徳義塾中学・高等学校:MEITOKU GIJUKU Junior & Senior High School

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