8月も終わりを迎えました。暦の上では秋とはいえ、まだまだ暑さへの用心が欠かせない季節です。無理のない範囲で早朝の散歩を続けながら、岡山のまちの日常を楽しんでいます。
岡山市は、まちなかを縫うように水路が巡る都市です。市の紹介では、橋の数は約9,600にも上るとされ、その多さからも、水と暮らしの深い結び付きがうかがえます。何気なく渡っている小さな橋も、毎日の生活を支える大切な存在です。
岡山駅から歩いて10分ほどの中心市街地でも、水路をのぞくと、いろいろな生き物の姿を見ることができます。外来種らしきものもいれば、もともとこの地域にいたのか、それとも誰かが放したのか、首をかしげるものもいます。詳しい種類や由来までは分かりませんが、身近な水辺にも、生き物と人の暮らしが交差する小さな世界が広がっています。
ここが私の散歩コースです。住んでいるマンションと桑田中学校の周りをぐるりと一周。11周すると、およそ1万歩になります。もっとも、毎回その数字にこだわると長続きしません。三日坊主にならぬよう、その日の体調と相談しながら歩いています。同じ道でも、水面に目を向けたり、足元を眺めたりすると、案外飽きないものです。
さて、ここで寝ぼけジイジの失敗談を一つ。
誕生日が近づき、運転免許証の更新はがきが届きました。こういう用事は早めに済ませようと、朝から一番乗りを目指して運転免許センターへ出かけました。ところが、窓口で返ってきたのは、「まだ、お誕生日の1か月前になっていないので、手続きできません」とのお言葉でした。
はがきが届いたのだから、もう更新できるものと思い込んでいたのであります。肝心の受付期間をよく読んでおりませんでした。勇んで出かけた分だけ、肩を落として出直しです。トホホの朝でした。
まちづくりでは現場の確認が大切だと申し上げているのに、まずは自分のはがきを確認しなければなりません。苦笑いしながら、また一つ、年を重ねる準備となりました。
月末には、NPO法人まちづくり推進機構岡山の令和8年度総会に参加いたしました。
同法人は、住民が自ら地域の課題を見つけ、さまざまな立場の人と協力しながら解決していく、参加型のまちづくりを支える団体です。情報発信や交流、相談、調査研究、人材育成などを通じて、地域で活動する人と人、団体と団体をつなぐ役割を担っています。
その活動を知っていただくうえで、特にご紹介したいのが、ユニバーサルデザイン、元気集落の支援、そして防災です。
ユニバーサルデザイン、略してUDとは、年齢や障害の有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が使いやすいよう、建物や製品、サービスなどを初めから考えることです。同法人では、講座や体験、交流を通じて、この考え方をまちづくりに広げています。令和8年度も「おかやまUDアンバサダー養成講座」が案内されており、身近な暮らしの中でUDを理解し、伝える人材を育てる取り組みが進められています。
例えば、歩道の小さな段差や、読みにくい案内表示も、使う人の立場で見直すと、改善のきっかけが見えてきます。自分自身が年齢を重ねるにつれ、誰もが安心して歩ける道、迷わず利用できる施設のありがたさを、以前にも増して実感するようになりました。
元気集落の支援では、中山間地域の皆様の思いや困り事を受け止め、地域の外から応援する人たちとの橋渡しをしています。岡山県中山間地域協働支援センターの運営に携わり、集落への聞き取り、応援団の調整、専門家による助言、研修などを重ねてきました。祭りや草刈りなどの人手を補う活動に加え、大学生らの得意分野を生かした交流や、特産品の販路づくりを支援してきた実績もあります。
これから実りの秋を迎えます。農作業や地域の行事は、暮らしの営みであると同時に、その土地の魅力を知る機会にもなります。一度訪れて終わるのではなく、顔なじみになり、また会いに行きたくなる。そうした関係が少しずつ増えていくことが、地域を支える力になるのだと思います。
そして、防災活動です。同法人は、住民参加による防災マップづくりや研修、自主防災組織の活動支援などに取り組んできました。地域を実際に歩き、危険な場所を確かめ、避難や助け合いについて話し合う。専門家の知見と、住民の皆様が持つ土地の知識を結び付ける取り組みです。
9月1日の「防災の日」を目前にするこの時期は、日頃の備えを考えるよい機会でもあります。散歩で親しんでいる水路も、大雨のときには違った姿を見せるかもしれません。普段からまちを知り、ご近所同士で声を掛け合える関係を育てておく。その積み重ねを大切にしたいものです。
私には、UDも、元気集落の支援も、防災も、「誰もが地域で安心して暮らし続けられるようにする」という願いでつながっているように思えます。歩きやすさや分かりやすさへの配慮は、避難のしやすさにも通じます。普段の行事や共同作業で育まれたつながりは、いざというときの助け合いの土台にもなるでしょう。
総会後の交流会では、新見の先生方をはじめ、多彩な皆様とまちづくり談義に花が咲きました。それぞれの地域で活動されている方のお話には、現場ならではの実感があります。立場や専門が違うからこそ、気付かされることも多く、話が尽きませんでした。
こうして顔を合わせ、思いを交わし、次の活動につながるご縁を育てる。その場を支えていること自体が、このNPOの大切な役割なのだと感じました。
水路に架かる橋が毎日の暮らしをつなぐように、地域には人と人をつなぐ働きが必要です。身近なまちを歩き、人の話に耳を傾け、自分にできることを少しずつ続ける。そんな思いを新たにした、8月末の岡山でした。
まずは早朝散歩を無理なく続けること。そして免許更新は、今度こそ日付をよく確かめて出かけることにいたし、月末、なんとか西警察署にて無事に更新できました。
